とらふぐに関するありとあらゆる情報をお届けいたします。
ちょっと長いので時間のあるときにゆっくりお読みください。

ちなみにみなさん、「とらふぐ」にはどういったイメージをお持ちでしょうか?
・まるっこい体におちょぼ口、怒ると体を風船のように膨らませるユニークな魚。
・猛毒を持つ恐ろしい魚。
・芸術品のように美しく盛り付けられた刺身が印象的で淡白ながら舌の上で旨味がとろけるとらふぐ料理。
・普段はめったにお目にかかれない、特別な高級食材。

このような総じて「特別な」ものだという認識でしょうか?

こちらの資料をすべて読み終わったころにはとらふぐがすごく身近に感じられ、とらふぐ博士になれること間違いなし!みんなに豆知識を自慢しましょう!

まずはとらふぐの歴史や、特徴などを学んでいきましょう

ふぐの歴史


いつ頃から食べてるの?

以外にも歴史は古く、縄文時代の貝塚からふぐの歯骨が発見されています!

しかし江戸時代に豊臣秀吉の家来たちが内臓ごと食べ集団食中毒死したことをきっかけに「河豚食用禁止の令」が出されました。
江戸時代長州藩ではふぐで中毒死をした武士に対しては家禄の没収や断絶などの厳しい措置を定めていました

今でもたまにふぐ毒に当たる人がいるけど、昔からあったようですね。

そしてその取り締まりは明治時代まで続きました。

じゃあ何で今食べられるようになったのか?

そのきっかけを作った人はなんと!初代内閣総理大臣の伊藤博文だったのです!



下関のある料亭での出来事…
今日は大事なお客さんの伊藤博文が来るというのに、海がシケておりいい魚が獲れませんでした。
そこで女将は意を決し、怒られるのを覚悟で当時食用が禁止されていたふぐ料理を振る舞います。



「う~~~~まいっ!!!」


と言ったかどうかは分かりませんが、伊藤博文はえらく感動し



「こんな美味いものをどうして禁止しているのか?」



という事で、ふぐを食べれるよう働きかけたのです。
当初は山口県のみの限定的なものでしたが、その後徐々に様々なふぐ料理が広まり、太平洋戦争後にようやく全国で解禁となりました。



ふぐをなぜ「ふく」と呼ぶのか?


平安時代の著書「和名類聚抄」には「布久」と書いてあります。

由来には諸説ありますが
1.「フクるる」の略で、怒るとお腹をフクらますから。
2.「フクれる」と「フクベ(ひょうたん)」に似てることから。
3.「吹く」、水を吹き出して砂中の餌をあさる様子から 。

などの説があるようです。

また「ふく」は福に通じ、ふぐは「不具」に通じるから縁起物としての側面もあるでしょう。

地域によっての呼び名も様々で、当たれば死ぬところから、大阪では「テッポウ」と呼んだりもします。

他にも

長崎県島原地方では、棺桶を意味する「龕桶(がんばこ)」を用意してでも食べたい
と言わしめたことから、「がんば」


瀬戸内海地方におけるナシフグ・コモンフグ・ヒガンフグ等の一部のフグの呼び方で、「当たれば身の終わり」→「みのおわり」→「美濃・尾張」となり、“尾張”といえば“名古屋”の連想から「ナゴヤフグ」


鹿児島県志布志地方で十転倒(じゅってんとう)がなまって呼ばれるようになったそうで、ふぐの毒に当たれば十回転んで倒れるほど苦しむ事から「ジュッテントン」

などがあります。



なぜ「河豚」と書くのか?


漢字の河豚の由来は中国にあります。中国では昔から美味しい河魚として揚子江の洞庭湖付近で食されており、また美味しいものの代表である「豚」の名前が結びついたともいわれています。


ふぐ料理の歴史


先ほども出てきましたが意外と歴史は古く、古くは縄文時代から食されていたようです。
江戸時代に書かれたレシピも存在するようですが、禁止されたこともあり、本格的に食べられるようになり調理法が発達したのは明治以降のことです。


とらふぐの特徴



とらふぐ は、「冬の味覚王」と呼ばれ、フグの中で一番の高級魚とされています。

身は淡白で、独特の食感を持ち、刺身や鍋、焼きふぐ、唐揚げなどでよく食されていますね。

また澄んだ極上の出汁でつくる雑炊はまた別格です。

ふぐの部位の中でも特に高級な精巣(白子)は、俗に春秋五覇のひとり呉の夫差に色香で国を傾けさせた西施の乳に例えて「西施乳」ともいい、大変美味です。「海の宝石」なんて呼ばれることもあるんぐらいです!鍋に入れ濃厚な旨味を楽しむのもよし、パリッと焼いて食べる白子焼きもいいですね!あとは日本酒に入れて飲む白子酒や、茶わん蒸しグラタンなどに使っても美味しいです!



ふぐはどうやって膨らんでるの?


ふぐは膨らむ際に水や空気を、特殊な「弁」と袋状の「膨張のう」を持った「胃」のなかへ入れ体を膨らませます。
個体によっては、自重の約4倍もの水を吸い込むものも!外敵を威嚇したり自己防衛と関係があるといわれてます。

なんでも噛み千切る鋭い歯


ふぐは出荷時や養殖時にたびたびニッパーで歯を切ります(歯切り)ふぐは触れ合うと激しく噛みつく習性があり、生簀内で他のふぐの身やひれに噛みつき傷つけ合ってしまいます。

繊細で臆病な性格なんですね。



とらふぐの成分



ふぐ毒の危険性
とらふぐといえばやはり避けて通れないのが「毒」の存在でしょう。

1gでマウスを1万匹も死亡させることが出来る猛毒「ふぐ毒」テトロドトキシンを有しています。たくさんの研究がされ、多くが解明されましたが、まだすべてを解明するに至っていないのが現状です。

フグの有毒部位は種類によって異なるのですが、外見が似かよったふぐも多く、なかには筋肉に毒を持つものもあり、有毒な部位が異なるため、フグの種類鑑別ができなければ大変危険です。

ふぐを食べる際は必ず、免許を持った専門の調理師が処理したものにしましょう。釣ってきたふぐや、もらったふぐを素人判断で調理することは、死亡の危険性もあり非常に危険です。

ふぐの毒がいかに危険かは、有毒部位の処理方法を見てもわかります。
ふぐの有毒部位は取り除かれたあと、各都道府県の条例に基づいて専用の容器に入れられ、鍵をかけ厳重に保管されます。

その後、専門の業者等により処理されます。

かなり厳重に扱っているのが分かったでしょうか?それだけ危険ということですね。


ここで豆知識
実はその恐ろしいテトロドトキシンという毒を日本人が発見し命名していたということは知っていますか?

日本最初の薬学博士である田原良純さん(内務省東京衛生試験所所長)が初めてふぐの卵巣からフグ毒を抽出させることに成功し、フグ科の学名「Tetraodontidae」から「テトロド」、「Toxin(毒素)」から「トキシン」を合わせて、「テトロドトキシン」と命名したんです。

では強い毒を持つふぐは海では無敵なのか?というとそうではないようです。ふぐは成長とともにテトロドトキシンを体内に蓄積していくため毒性が弱い稚魚のうちは多くの生きものから狙われ食べられることもあるようです。

強い毒を持つために他のいきものから捕食されにくいふぐですが、テトロドトキシンに対して高い耐性を持っている、同じ大型種のふぐに食べられてしまうことがあるそうです。敵は近くにいた!ってことです。



美容には欠かせない!?



また特徴の一つとして美容業界などでよく聞くコラーゲンがあります。ふぐの皮やくちばしはほとんどがゼラチン質で良質なコラーゲンの塊です。コラーゲンは、私たちの体を構成するタンパク質の3分の1を占めており、体のあらゆるところに存在しています。

肌をキレイにする効果があるといわれ、皮膚の健康を維持する働きがある「ナイアシン」という栄養素も含まれています。

さらに「カルシウム」や「マグネシウム」、「リン」などの丈夫な歯や骨を作る上で欠かせない成分が含まれ、カルシウムの働きをサポートしてくれる「ビタミンD」も豊富に含まれています。


ふぐのことわざ


昔の人から学ぶことは多いですが、ふぐに対してもことわざでその特徴を残してくれた人たちがいました。

河豚は食いたし命は惜しし(ふぐはくいたし いのちはおしし)
美味しいフグは食べたいが、毒に当たって死ぬのは嫌だという言葉通りの意味の裏に、いい思いはしたいけれど、それに伴うリスクは怖いから簡単には踏み切れず迷っている様子のこと。

ふぐ食った猫の腰(ふぐくった ねこのこし)
ふぐを食べて毒にあたってしまった猫の腰のようにフラフラしている様子をさし、「腰抜け」であることをあらわすことわざ。

河豚にもあたれば鯛にもあたる (ふぐにもあたれば たいにもあたる)
運が悪い時には何を食べても当たってしまうということ。つまり、いつどこで災いが起こるかわからないということのたとえ。

河豚食う馬鹿河豚食わぬ馬鹿(ふぐくうばか ふぐくわぬばか)
毒を持つふぐを食べて命を落とすのは愚かだが、怖がって全く食べずふぐの美味しさを知らないことも愚かだという意味。
フグの美味しさと危険に乱れる人々の心を、皮肉を込めて表現しています。

北大路魯山人に
ふぐの美味うまさというものは実に断然たるものだ――と、私はいい切る。これを他に比せんとしても、これに優まさる何物をも発見し得ないからだ。とまで言わしめた。

芥川賞作家・火野葦平
冬の雪冬の寒さは ふくのためふくあるがため 春菊と橙あれば その味はまた世界一

昔からやはり「おいしさ」と「毒」がふぐにとってインパクトの強い要素だったのが分かりますね。



危険なものほど美味しい…高級食材であるとらふぐに「絶妙なうま味 」を感じるのは、毒があるからという説もあります。しかし、新たな研究で、フグの味を形成している化学物質が特定されました。研究結果は、「ACS’ Journal of Agricultural and Food Chemistry」で発表されています。https://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/acs.jafc.8b06047

ユアン・リューと共同研究者たちは、フグの筋肉組織をすりつぶして調理し、フグの抽出液を作りました。抽出液を解析したところ、その中の12の成分を水に溶かした時にフグの味をうまく表せることがわかり、その味には強い旨味やコク味が含まれていました。

さらに、事前の研究で分離していた2つの味を持つペプチドを加えることで、一層実物のフグの味に近づけることができたのです。今回の研究でフグが美味しいのは、含まれる成分によるものであり、命を危険に晒すことによる心理的な効果は必要ないことがわかりました。とは言え人は危険なものほど魅力を感じ惹かれてしまうもの。もしふぐに毒がなかったら今とは違う扱いだったかもしれませんね。


とらふぐの生態


生息範囲
トラフグは日本列島周辺に広く生息し、3月から6月にかけ水深10cm〜50cmほどの海底を産卵床にします。
生息域は北海道全沿岸〜九州南岸の日本海・東シナ海・太平洋沿岸(四国と九州南岸は少ない)、瀬戸内海、東シナ海北部。
千島列島の太平洋沖、朝鮮半島全沿岸、済州島、中国東シナ海沿岸、台湾。
産卵後、東シナ海などの外海で回遊して、約2〜3年後には生まれ故郷の産卵場に戻ってくる。この産卵回帰性はここ最近の調査で少しずつ明らかになってきました。

天然

漁獲量は年々減っています。国内に流通しているトラフグのうち、天然物は僅か1割ほど。かつ本当に品がいいものはその中でも1割程度でしょう。天然物のトラフグにおいては、粭島から大分県の姫島にかけて捕れるものが最高級とされています。

下関では約30年前は年間約2000トンの天然物が南風泊市場に入ってきていましたが、現在はその15分の1にまで減っています。

養殖の歴史


安定した供給ができる飼育技術が確立し、本格的に養殖の取り組みが始まったのが1980年(昭和55年)頃。東シナ海、太平洋、瀬戸内海にて海上養殖が行われるようになりました。

日本国内で養殖生産量が最も多いのは長崎県で、続いて熊本県、愛媛県
養殖とらふぐの総生産量は、近年は4,000〜5,000トン前後です。

とらふぐの養殖方法は2種類あり「海面養殖」と「陸上養殖」があります。

海面養殖は古くから行われていた方法で、海に囲い網やいけすを設置してとらふぐを飼育する方法
一方、陸上養殖は、水族館と同じように飼育槽の水を浄化して再度戻す閉鎖循環式、飼育槽に海の水を給排水して飼育する掛け流し式があります。

海面養殖の最大のデメリットは、赤潮や夏場の海水温度の上昇や、台風等の自然界の影響を受けてしまうことです。

陸上養殖では、掛け流し方式だと赤潮などの自然界の影響をかなり軽減できますし、閉鎖循環式だとそれらの影響はほとんどありません。しかし設備などのコスト面でのデメリットが挙げられます。


ふぐの食べごろ


一般的に、ふぐの旬は秋のお彼岸(秋分の日を中日とした前後3日間)から春のお彼岸(春分の日を中日とした前後3日間)までと言われています。

これにはちゃんと理由があり、4月から6月頃のふぐは産卵期を前に、まず肝臓が栄養を蓄え、肝臓から栄養をもらい大きく発育する卵巣の毒性が強くなり、中毒事故の危険性が高まると言われているためです。



下関ととらふぐ


みなさんふぐと聞いてまず頭に浮かべる地域はどこでしょうか?おそらくほとんどの人は下関と答えると思います。
ではなぜ、フグと言えば下関なのか。下関市はフグの取扱量が日本一だが、下関の漁船が取る天然フグは全体のごく一部にすぎず、養殖はほぼしていません。


主な理由として
・全国に先駆けふぐ食が解禁された地であること
・フグ漁の延縄漁法の考案者が山口県周南市粭島の住人だった。現在も粭島にはフグ漁発祥の地と言うモニュメントが立っています。
・受け入れる施設(市場)が充実している
・取り扱う業者が多く、身欠きに必要な特殊な技術を持っている
などがあげられます。

下関の唐戸魚市場は、1933年(昭和8年)に開設されたフグの取引所として知られ、大型船が接岸できる立地を生かした南風泊(はえどまり)市場は、日本最大のフグ専門の取り扱い市場として知られている。山口県は1989年にフグを県魚と指定。このように下関とフグは象徴的な結びつきが強い。日本海、瀬戸内海、太平洋(豊後灘)の交点に位置し、早くから鉄道が敷設され交通の要衝となった。下関はフグの集積地として成功をおさめた。現在も、フグのなかでも高級とされる天然のトラフグなどは下関に全国の7割から8割が集荷される一大拠点。「身欠き」「皮むき」など、フグの持つ毒のため加工技術は他の魚と異なる技術が必要であり、一朝一夕で習得できるような単純な技能ではない。従って、フグが水揚げされる他の地域でもフグ加工技術の集積がないため、下関へと輸送する場合が多数である。



今では輸送や加工の技術向上、機械化により下関に限らす、とらふぐを扱っている業者はありますし、インターネットで注文すればすぐに自宅でとらふぐのフルコースが食べられます。

平成24年10月1日には、東京都ふぐの取扱い規制条例及び東京都ふぐの取扱い規制条例施行規則を改正し、今までふぐ調理師以外は取り扱えなかったふぐ加工製品について、一定の条件を満たすことにより、ふぐ調理師以外の人でも取り扱えることができるようになりました。

年々食べるための条件がそろい間口がひろがってきたとらふぐ。いずれは一般家庭の食卓で普通のお魚と同様に気軽に調理して食べる時がくるかもしれません。

これでふぐの歴史や特徴についてのお話は終了です。最後までお付き合いいただき有難うございました!

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